チボー家の人々を読んでみると・・・
我輩は子供の頃、かなり読書が好きだった。
(まあ虚弱体質で運動が苦手だったからねぇ。)
社会人になってからも、本は読んでいるのだが、
どうしても時間に限りがある。
小説よりも自己啓発本やビジネス本を読むことが多くなった。
長編小説を読むのは入院している時くらい・・・
だったのだが。
最近、また本、それも長編小説が読みたくなりだした。
そこで手に取ったのが「チボー家の人々」である。
実は学生時代に読み始めて、途中で挫折した本なのだ。
ノーベル文学賞を受賞したロジェ・マルタン・デュ・ガールの代表作で、
8部11巻からなる長編小説なのだが、
正直第1部のの「灰色のノート」が、当時の我輩には退屈で、
続きを読む気にはなれなかったのである。
しかし今回、再チャレンジしてみて、感動した。
なんというか・・・深い。
主人公のジャックはじめ登場人物たちは皆、
強さも弱さも併せ持ち、欠点もたくさんある。
しかしそれぞれが自分と向き合い、
時代の大きなうねりの中でどう生きるか、
真摯に考えるその姿には本当に考えさせられた。
折しも共謀罪なるものが強行採決されるご時世である。
この小説で描かれる第一次世界大戦に突き進むまでの
各国の状況、言い分、疑心暗鬼、大義名分。
そして簡単に国家の思惑に乗って、戦争へと突き進む大衆。
なんだかデジャブのように感じられてきた。
ジャックのように生きられる人間はあまりいない。
彼の理想に共鳴できるかと問われたら、正直難しい。
だが、理想語る者を笑う者にもなりたくない。
今の時代、若い人にこそ読んでほしい小説である。
読んで、考えて、そして自分に問うて欲しい。
この世界と自分がどう関わって生きて行くのかということを。
ああ、なんか真面目に語ってしまった!
恥ずかしいから、池に飛び込んじゃおっと!