映画とミュージカルでリフレッシュ(その2)
さて、前回の続きである。
「ノア~約束の舟」を見て、ずっしり重い気分になってしまった我輩。
気を取り直して、天王洲アイルに向かった。
天王洲銀河劇場で濱田めぐみ主演のミュージカル「カルメン」を
観るためである。
いつものように、同じ建物内にあるアイリッシュパブで、早めの夕食をとる。
(銀河劇場で夜の部の芝居を見る時は、いつもそうしているのだ。)
1パイントのギネス、お代りはキルケニー。
そしてバッファローチキンウイング、シェパーズパイ、ピクルスで満腹。
ほろ酔いのいい気分で、観劇。
「カルメン」のストーリーを知らない人は、ほとんどいないだろう。
中でもビゼーのオペラは有名で、「闘牛士の歌」を聴けば、
すぐに「カルメン」の姿が眼に浮かんでくる。
しかし、今回の「カルメン」に闘牛士は登場しない。
”魔性の女”、”官能的”、”気まぐれ”、といった
カルメンの毒婦のイメージはかなり薄められており、
ストーリー自体は、かなり単純な”純愛もの”になっている。
だが、だからといって、このミュージカルがつまらない
というわけではないのだ。
音楽はフランク・ワイルドホーン。
そして演出は、最近我輩が注目している小林香である。
彼女は作曲家でもあり、ミュージカルの中での音楽の使い方に
独特の上手さがある。
今回もJ-Kimの演じる預言者が、狂言まわしのように、
歌でカルメンの運命を暗示する。
簡略な舞台装置と照明効果は、陰影のある舞台を作りだし、
観客はその歌声に誘われて、カルメンの悲劇を見届けることとなる。
カルメンを演じる濱田めぐみと預言者として歌うJ-Kim。
この二人の声には圧倒される。
この二人の声だけでも、このミュージカルを観る価値はある。
ホセ役の清水良太郎という役者さんを我輩は知らなかったが、
ものまねタレントの清水アキラの息子さんだそーだ。
とっても重くなるこの作品に、軽妙な味付けを加えているのが、
市長役の別所哲也とイネス役の香寿たつき。
実力派の二人が、絶妙の間で演じるコミカルなやりとりが、
観客に程よい息抜きをさせてくれる。
香寿さん、とっても楽しそうに演じていたけど、
「ラブ・ネバー・ダイ」で怖いマダム・ジリーを演じた反動かも。(苦笑)
今回のキャストの中で、ちょっと惜しい感じがしたのは、
ガルシア役の人。(米倉利紀という歌手らしい)
見た目も、声もいいんだけれど・・・極悪非道なジプシー達のボスにしては、
声が高くて柔らかすぎる感じがした。
やっぱり極悪人はドスの利いた声がいいと思う。
折しも6月26日の朝日新聞の演劇評で、「カルメン」が取り上げられていた。
批評家は、”能の仕掛けを取り込んだ演出”と絶賛。
皆様、「小林香演出」の作品は、要チェックですぞ!
しかし、悲恋物って、やはり若い女性には我が事とオーバーラップするのだろーか・・・?
我輩の隣の席の女性が、まあ泣くこと、泣くこと。
ハンカチを握りしめ、鼻を啜り、ティシュでチーン(笑)。
色気より食い気・・・というより、色気にはまったく縁のないかっぱは、
なんだか羨ましい気さえしたけどさ。
そうそう、濱田さんって、ちょっと強面のイメージがあったんだけど、
(観た役がそういう役ばっかりだったのかも)
カーテンコールで両手を振って、ペコリとお辞儀する姿は、
とっても可愛くてびっくり!・・・だったよー。
o(*^▽^*)o~♪