”ばあば”の特技
社長のお母様は”哲子さん”という。
鎌田家の人たちは、愛情を込めて”ばあば”と呼んでいる。
もう80代も半ばのはずだが、実に元気で、
気ままな一人暮らしを謳歌している。
この”ばあば”の趣味・・・というよりは、もはや特技なのが
「陶芸」である。
”なあーんだ、あの、皿とか作るやつね。”
などと甘く考えてはいけない。
実は、加満田の廊下に飾られている、
かっぱの灯篭も”ばあば”の作品なのである。
清水菎先生のかっぱの絵をモチーフにしてあるので、
我輩はてっきり買ったものだと思っていた。
なかなか見事な腕前である。
そこで、我輩はちょっとお願いをしてみることにした。
「あのー、かっぱの小物なんかも作っていただけるんでしょうか?」
「河童?何が欲しいの?」
「たとえば箸置きとか・・・」
「できるわよ、ちょっと日にちがかかるけど。」
あっさり、引き受けて下さいました。
完成品はこちらです。
女将の希望で、焼酎を入れる酒器も作って頂きました。
いやー、すごいですねえ。
(ぱちぱち)
こうして加満田は、ますます河童にとって
居心地のいい宿となっていくのでした。